2005年02月

55-9-2-p13-27

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P13

図27。
27.jpg

 この第4のカテゴリーの代表的な例として、ザックマンの有名な例を挙げる。白のcポーンは、a3とa4の白黒両ポーンによって、間接的に守られている。
 白は以下で勝ち。
1 Kf5! Kb6(b5には白ポーンの利きがあるため、黒はオポジションを維持できない。戻って、問題図で白キングがf5にあったとすると、1 Ke5 もしくは Kg5 で白勝ちとなる)
2 Kf6  Kb7
3 Kf7  ... (プリンシパル・ライン上のオポジション)
3 ...   Kb6
4 Ke8  Kb7
5 Kd7  Kb6
6 Kc8 白勝ち。


  6 Kd6では戦術不足で、
6 ...   Kb7
7 Kc5? Kc7
8 Kb4  Kb6 =

----------------------------

<いとう註:前回と同じように、白キングが「プリンシパル・ライン上のオポジション」をとりながら、黒のクリティカル・スクエアに侵入。
 ただし、6手目が「Kd6では戦術不足」らしく、白キングが7手目でc5の黒ポーンをとっても(おそらくそのまま黒のaポーンをとるだろう)、よろしくないとデュシャンらは分析する。確かに、このとき白はオポジションを崩しており、黒がひたすらオポジションをとることになる。ポーンをとられてもオポジションを維持しようとすることの方を、彼らは優先している。
 さて、次のP14を経ると、ついに次章「ヘテロドックス・オポジション」に移る>

<いとう註:図の上に「F.Sackmann,D.Arbeiter-Schachz,1913」とあり、下に「白番で勝利」とある。前回と今回「ザックマン」と書いてあるのは、この「Sackmann」のこと>

55-9-2-P13-26

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

 第4の、最後のカテゴリー
26.jpg
 
 縦列上のクリティカル・スクエアで、“ザックマン・フォーメーション”という。
 図26は、これまでのように同じ縦列上の、隣り合った3つのマス目から成るカテゴリーの最後の一例である。
 クリティカル・スクエアは+で示されている。d4はクリティカル・スクエアとは見なせない。というのは、e4とe3に黒ポーンの利きがあるため、d4ポーンへの正面からの攻撃ができないからである。

 図17のFr. Dedrle 作と同じ戦略を使い、勝利する。

1 Kg7!(クリティカル・スクエアd7への直接攻撃)
1 ...   Kc5
2 Kf7! Kb5
3 Ke7! Kc6(強制)
4 Ke6 (プリンシパル・ライン上でオポジションを取った)
4 ...   Kc5
5 Kd7 白勝ち。


-------------------------------

<いとう註:クリティカル・スクエアさえわかっていれば、そこをひたすら狙う。3手目の黒Kc6は、d5ポーンを守るために仕方のない強制手。そこに白は「Ke6、プリンシパル・ライン上でのオポジション」。圧倒的な強さである>

<いとう註:図の上に「V.Halberstadt」、下に「白番で勝利」>

55-9-2-p13-25

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション
P13

 第3のカテゴリーの構造的特性を説明するために、Fr. Dedrleによるエンディング作品をもうひとつ引く。図25。

25.jpg

 黒はオポジションを取らなかったとしても、白キングから離れていることで有利になる。白キングはオポジションを維持するために、黒キングに近づくことができない。そして、黒の反撃は白ポーンに向けられる。

1 ...   Kc6!
2 Kg6  Kc5!
3 Kg5  Kd4 など。=

------------------------------

<いとう註:4手目以降、黒キングは白のeポーンを狙いに行ける。白は届かない。
 もしも、白キングがeポーンに近づいて黒の攻撃を防いだとしても、黒キングも白ポーンを狙ってひたすら下降。互いにポーンをひとつずつ取ったのち、黒キングは残る白ポーンを狙える>

<いとう註:図の上に「Fr.Dedre.Cas.Ces.Sach,1921」、下に「黒番で引き分け」とある>

55-9-2-p12-24

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P12

24.jpg

 Dedrle フォーメーションの例をさらに。図24。
 白はディスタント・ヴァーチャル・オポジションを取る。

1 Kg8! Kb6
2 Kf8! Kc6
3 Ke8! Kd6
4 Kf7(白は黒にオポジションを譲るが、黒はふさがれたスクエアがあるため、維持できない)
4 ...   Kd7
5 Kf6  Kd6
6 Kf5  Kd5
7 Kf4! Kc4
8 Ke4  Kc5
9 Ke5  Kc4
10 Kd6  Kc3
11 Kd5 白勝ち。1 ... Ka5 なら、2 Kg7!など。+-


 1852年5月の「チェス・プレイヤーズ・クロニクル」には、Kling & Horwitz作による同種のエンディング作品が掲載された。
 白キング:c6、ポーン:e4、ポーン:c4
 黒キング:e6、ポーン:d6
 白先手でドロー。

1 Kb6  Kf6
2 Kb7  Kf7
3 Ka8  Ke8
4 Kb8  Kf8!
5 e5   Ke7
ドロー。
4 ...   Kd8?
5 Kb7  Kd7
6 Kb6 白勝ち。

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<いとう註:デュシャンらの注にかまわず、棋譜通りに進めれば、図24の11手目に白黒両キングは相手ポーンをとる。そして、白のeポーンが残り、白はキングとポーンの2駒あって勝ち。
 ただし、「4 Kf7(白は黒にオポジションを譲るが、黒はふさがれたスクエアがあるため、維持できない)」がわからず。まだ黒キングは自軍ポーンにふさがれたd4には届かないからである。ともかく、バーチャルオポジションを取り続けた白キングが、この4手目のKf7において通常のオポジションをとり、それは6手目まで続くことは確か。7手目からは白キングがバーチャルオポジションに戻るが、そうしながら黒ポーンの背後のd6(+のしるしがあるマス目)を占拠する。つまりこの黒のクリティカル・スクエアを狙うために、白は動いていたことになる……。
 Kling & Horwitz作のエンディングでは、黒キングがバーチャル・オポジションをとり続け、白eポーンが出てくれば、すかさず対応。別パターン(4 ...   Kd8?)では、黒キングは自軍ポーンにふさがれて、白キングがポーン狙いで下がっていくのを止めることが出来ない。白キングはやがてたったひとつの黒ポーンを取って勝ち>

<いとう註:図の上に「Fr.Dedre.Cas.Ces.Sach,1921」、下に「白番で勝利」とある>

55-9-2-p12-23

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P12
23.jpg

 ここで我々はクリティカル・スクエアの第3のカテゴリーの研究に入る。

 1本の縦列上のクリティカル・スクエア、“Dedrle フォーメーション”である。

 図23のポーンの位置関係は、このクリティカル・スクエアの第3のカテゴリーを作っている。

 白はここで、自軍のポーンがあるマス目だけでなく、背後の2つのマス目もただちに守らなければならない。

 このポーン自体、“クリティカル・スクエア”上にある。境界のマス目のカテゴリーでは、黒ポーンが占めるマス目をクリティカル・スクエアとは見なせない。防がれたマス目(白ポーンが占拠しているマス目)と、黒ポーンの利きのために、正面からの攻撃ができないからである。

 Fr. Dedrle は、こうしたシステマティックなポジションを研究した最初の人物だったことを注記しておく。

 Kf1もしくはKf2とすれば、クリティカル・スクエアのひとつを占拠できるのはすぐわかる。しかし、これでは黒にgポーンと白のポーンとの交換を許してしまい、つまり白の負けとなる。白は以下のように進めなければならない。

1 Kh1!  ...(1 Kf1?は負け。以下、Kd2 2 Kf2 Kd3となって、白はf3のポーンに妨害され、オポジションを維持できない)
1 ...   Kd2
2 Kh2 など(1 ... g4 なら、2 Kg2!=)

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<いとう註:難しくなってきた……。ここはもうまったくわからない。
 まず、おさらい。「クリティカル・スクエア」とは、「守らなければならないマス目」。
 そして「境界のマス目」とは、「ブロックし合ったポーンの、白黒それぞれの左右3つのマス目」。
 で、黒ポーンの効きとは、つまりd4f4h。
 まずこの図の状態ではポーンが直接ブロックし合っていない。がしかし、白ポーンは一歩前に出れば、黒ポーンのどちらかに取られる。自らは動くことが出来ない。
 その状態で、黒ポーンの位置はクリティカル・スクエアではないというのである。
 このポジションでは白にとって、黒ポーンの位置を襲うことは有効でないということになる。
 具体例を見てみると、「Kf1もしくはKf2」では「黒にgポーンと白のポーンとの交換を許してしま」うという。黒gポーンが前に出てくれば、白ポーンはそれを取る。がしかし、交換にはならない。むしろ、白ポーンは自由になって相手盤面の端へと動き出すだろう。したがって、黒gポーンが出てくるためには黒キングがその近くに行き、gポーンを取った白ポーンを取るということを示しているのだろうか。
 そこで白キングはなんと「Kh1」とする。盤の右端に離れてしまう。そして、もし黒のgポーンが前に出てきたらすかさずKg2とするという(それがいい手だと「!」マークが付いているのである)。なぜ、白ポーンが黒ポーンを取らずに、キングをg2に動かすのか……?  このままではポーンの交換ののち、もはや白陣営にはキングだけが残されるのだからである。
 唯一わかるのは、「1 Kf1?は負け。以下、Kd2 2 Kf2 Kd3となって、白はf3のポーンに妨害され、オポジションを維持できない」 という原理原則のみだ。しかし、ここでも黒eポーンが前に出てくれば、ポーンの交換はほとんど必至。白はどうしたって不利になる。
 すいません。手におえません……。
 …………先が思いやられる。
 どなたかおわかりになったら教えてください……>

<いとう註:図の上に「Dr.H.Neustadt.International Chess Mag.1890>とあり、下には「白番でドロー」とある>
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