2005年01月

55-9-2-p11-21

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P11

図21
解答:
1 Ke4! これで黒キングは、2本のプリンシパル・ライン上のいずれにおいても、オポジションを取ることができない。

21.jpg

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<いとう註:図21の上に「Zuylen van Nyevelt.Superiorite,1792(Superioriteのeにはどちらもアクサンタギュが付く)」とある。図20で挙げた著書(「考え得る限りのチェスの優れた点と、特にご婦人方が好まれるその娯楽性など」)の略称である。
 したがって、これは図20で語られたことの補足。その書物からの引用。
 また、黒キングからすれば、プリンシパル・ラインはこのようなカギ型になることに注意したい。
 白キングがe4に入れば、あとは黒キングがどう動こうと1マス移動し、次の手番で再びe4に入ればいいということになる。黒キングはプリンシパル・ラインを出たり入ったりするしかなくなる>

<いとう註:図21の下には「白番でドローになる(Les Blancs jouent et font nulle)」と書かれている>

55-9-2-p10,11-20

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P10,11 

 例として、Fr. Dedrle は以下のキングのポジションを載せている(『研究』P.74、図20)。

20.jpg


a)白キング:g3、黒キング:e5、黒先手で白勝ち

1 ...   Ke4
2 Kg4  Ke5
3 Kg5 (プリンシパル・ライン上のオポジション)
3 ...   Ke6
4 Kf4  Kd5
5 Kf5! Kd6
6 Ke4+-(白優勢、境界のマス目の占拠)


b)白キング:g4、黒キング:e6、白黒どちらが先手でも白勝ち。

例えば、白先番なら白はこうする。
1 Kf4! Kd5!(他では2 Ke4+-)
2 Kf5! 白がプリンシパル・ライン上でオポジションを取り+-。
黒先手なら、黒には2通りの手段がある。
1 ...   Kd6 もしくは 1 ...   Ke5
2 Kf4! Kd5           2 Kg5(プリンシパル・ライン上のオポジション)
3 Kf5 など+-       2 ...   Ke4
                             3 Kf6 など+-


c)白キング:g2、黒キング:c7、黒先手でドロー

1 ...   Kd6!
2 Kf3  Kd5!
3 Ke3  Ke5
4 Kd3  Kd5!(プリンシパル・ライン上のオポジション)
など

2つの特別なケース。
d)白キング:g6、黒キング:c6、白先手で白勝ち。
 このケースは原則を否定しているように思える。というのも、黒キングがすでにd6-h6のプリンシパル・ライン上でオポジションを取っているからだ。しかしながら、黒はc4を支配されているため、オポジションを維持できない。

1 Kg5! Kc5
2 Kg4! 白勝ち。

e)白キング:g2、黒キング:e4、どちらが先手でもドロー。

1 ...   Kd4!
2 Kf2  ... (2 Kf3 Kd5!=)
2 ...   Ke4
3 Ke2  Kd4
4 Kd2  Ke4!=

 この Fr. Dedrle 作とよく似たエンディングが、1972年に出版されたZuylen van Nyevelt の著作「考え得る限りのチェスの優れた点と、特にご婦人方が好まれるその娯楽性など」で取り上げられている。



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<いとう註:様々な可能性について言及されているが、基本的に、プリンシパル・ライン上に入った相手キングに対してオポジションを取る方が優勢になる。また、唯一の例外はd)とe)だと示される。
 e)においては、白キングが黒キングへのオポジション(プリンシパル・ラインd上の)を取るにもかかわらず、黒キングが境界のマス目を手放さず、相手陣営に踏み込むことが出来ない>

<いとう註:図の上に「F.Dedrle.Studie,1921」とある>

55-9-2-p10-19.txt

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P10

 さて次は、もっと難解なケースへと進むことにしよう。

 境界のマス目は(その名が表すように)、勝ちの“ゾーン”の境目を示している。境界のマス目をどれか“1つ”でも占拠すればポーンを取れることは、すでに述べた。ましてや、白キングが境界のマス目の“背後”に侵入している場合には、いつでもポーンを取ることが可能なのであった。

 図19では勝ちのゾーンを点線で示している。e5およびe6は、e4と同様に守るべき地点である。プリンシパル・ラインがそこを通っているのだから。図ではプリンシパル・ラインをABで示している。もう1本のプリンシパル・ラインにACがあり、境界のマス目であるc4-d4-e4の中央を通っている。

 したがって勝利するには、白キングが“オポジション”を使い、図19上に正しい軌跡を描きながら、どちらかのプリンシパル・ラインに到達すればよいのである。逆に言えば、黒キングがそれを阻止することができれば、図19はドローになる。

19.jpg

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<いとう註:e6にプリンシパル・ラインが通っているというのが、わかりにくい。点線で示された“ゾーン”の境を形成するマスはすべて重要だということの一端だろうか。
 なんにせよ、プリンシパル・ラインに到達すれば、境界のマス目を自動的に得るのだろうが、そこに「正しい軌跡」という注文が来る。図17、18で示されたように、“先にプリンシパル・ラインに入ってはいけない”からである。
 入るべき線上があっても、相手が先にその上に来るのをじっと待つ。
 ここまでの理解では、戦略は以上に尽きる>

<いとう註:図19の上には「Fr.Dedrle Studie,1921」とある>

55-9-2-P10-18.txt

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P10

 最後に、M. Grierが1901年に「アメリカン・チェス・ワールド」に発表した、よく似たポジションを見てみよう(図18)。ただし、作者による解答は誤っている。

1 Kf1! Ke7
2 Ke1? Ke8
3 Ke2 ここでKd8?ではなく、Ke7とされるとドロー。

 正しい解決法は2 Kg2であり、以下は前に引いた(図17)Dedrle 作と同様である。

18.jpg

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<いとう註:図17の補足のようなものである。図17でg縦列を駆け上がるべきだった白キングが、M. Grierによるとe縦列(2 Ke1? )に入ってきてしまう。黒キングをe縦列に居続けさせてはならないというのが、デュシャンらの見解であった>


<いとう註:図18の上には「Grier Amarican Chess World,1901」とあり、下には「白番で勝ち」とある>

55-9-2-p9-17.

<オポジション>あるいはオーソドックス・オポジション

P9

 ここで、境界のマス目への攻撃に、“プリンシパル・ライン”の考え方を応用してみる。
 図17を分析しよう。
 プリンシパル・ライン上(この例ではfの縦列)でのオポジションの主な重要性を、我々はすでに知っている。1 Kf2ではKf6(もしくはKf8)とされ、黒がプリンシパル・ライン上でオポジションを取ってしまう。同様に、1 Ke1もしくはKe2なら黒キングはe列にとどまり、白キングがf列に移動せざるを得ないときに、プリンシパル・ライン上でオポジションを取る。白が勝つ方法は、黒キングが先にプリンシパル・ライン上へと移動するよう強制することである。そうしておいてから、白キングはプリンシパル・ライン上でオポジションを取る。
 これを実現するには、境界のマス目であるg6を直接アタックする。例えば:
1 Kg2  Ke~
2 Kg3  Ke~
3 Kg4  Ke~
4 Kg5  Kf7(強制)
5 Kf5 白勝ち


もし、
3 ...   Kf6なら、
4 Kf4  Kg6
5 Ke3(e4) Kf6
6 Kd3 
最終的には、白は境界のマス目であるa6を占拠する。

17.jpg

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<いとう註:「プリンシパル・ライン」はp7に出てきた。「“クリティカル・スクエア”の中央に引ける線」のことである。境界のマス目にこれを応用すると、縦に二本のプリンシパル・ラインが引かれる。図17ではb列とf列である。
「Ke~」とは、この図のおいて黒がe列のe8、e7のどちらかを動き続けることを指すのだろう。その間、白はクリティカル・スクエア目指してg列を一気に駆け上がり、とうとう黒キングはたまらずKf7とせざるを得ないという流れ。そこで白キングはKf5とし、ここでは割愛されているが黒Ke7。白キングは次の手でg6(境界のマス目)を占拠する。境界のマス目を取れば、相手ポーンをもらったことになるのは今までの説明通りである。
 また、1手目で白キングがKg2としたとき、黒キングがKd7に入って白のcポーンを狙ったしたらどうなるのか(最終的にKb4からc4ポーンを取ろうとするわけだ)? 白キングは入れなかったf列にすかさず侵入して駆け上がり、黒のdポーンを一手先に取ってしまう。これは素人考えであった。
 デュシャンらはそんなことは当たり前と、黒キングが3手目でKf6と先にプリンシパル・ラインに入ってくれば……と仮定している。その場合は白キングもプリンシパル・ラインf列に侵入し、手番が来た黒キングが勝負の場から後退するのを待って、図の左側の境界のマス目に到達する>

<いとう註:図の上に「Fr.Dedrle」とあり、下には例の「白勝ち」が印刷されている>
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